地域のシンボルを望む、土地に根付いた住まい

北海道 S邸

手入れされた庭、車庫棟、倉庫棟、神社のある広大な敷地に、ご両親の居室・玄関を分けた二世帯住宅。オーナーは、3代続く水産加工会社を経営しており、事業の母胎といえる漁港と、地域のシンボルである山を望む敷地を生かし、その両方を望める開放的なLDKが計画された。
天井が高く、大きく開放できる木製サッシを備えたリビングには、南北両側にも眺望のよい開口部を持つほか、リビングから延長する空間として、雄大な山容が眼前に広がるバルコニーを設置。ご家族が集う場となっている。
1階に設けた二間続きの和室は、仏間・神棚・書院のある空間と、盆の時期などに親戚一同が集まるための、堂々とした床柱を備えた空間に分かれる。この床柱、書院障子、欄間材は旧母屋(実家)にあったものを再利用。ほかにも、旧母屋から持ち込まれた屋久杉一枚板の衝立、保存されたいた欅の一枚板から仕上げたダイニングテーブル・和室座卓テーブルなど価値ある素材が大切に生かされている。
和室の雪見障子、主寝室とご両親の部屋からは手入れされた庭が見えるほか、ジェットバスを備えた浴室からは、山が一望できる。家の歴史と周囲の自然との関係が意識された、土地に根付いた住まいの姿がある。