プライバシーを守りつつ、ともに暮らす2世帯住宅

千葉県 I邸

低層の小規模住宅が建ち並ぶ、起伏の少ない住宅地。その一隅に残された、唯一、大きな面積を持つ敷地に計画された2世帯住宅。
玄関と和室などで構成された、来客をもてなすためのエントランス棟を中心に配置し、この建物に連なる2階建の子世帯棟と、平屋の親世帯棟で庭を囲い込む構成とすることにより、周囲からの視線を遮り、喧騒を隔絶してプライバシーの確保された空間を実現している。
また、子世帯棟と親世帯棟は、並行に配置するのではなく、あえてエントランス棟から鈍角を設けて「ハ」の字型に配置することにより、三つの棟の見え方が変化する仕掛けとしている。さらに、子世帯棟、親世帯棟からの視線をずらすことで、緩やかにプライバシーを確保。各世帯がそれぞれに、気兼ねなく生活できる配慮を行っている。
広大な敷地のスケールに合わせて、外観は水平ラインを強調し、伸びのあるデザインとした。壁には複数の天然石を使用することで、豊かな表情を引き出すとともに、有機的なその壁面に木の水平スラブ(平板)を交差させ、メリハリのある明快な印象を与えている。2世帯が思い思いに人生を謳歌しながら、温かな交流が生まれる住まいとなった。