都心の小美術館のような邸宅

東京都 S邸

都心の住宅街において100坪を超える恵まれた敷地でクライアントから求められたのは、心地良く風格のある邸宅だった。すぐ隣は街道沿いの商業地域で中高層のビルに囲われているため、外部に対して閉じつつプライバシーのある開放性をどのように生み出すかがひとつのテーマとなった。南側は門塀により前面道路に対して閉じ、アプローチを兼ねた庭を配置することで道路と向かいの住宅から引きを確保した。北側には壁で囲ったライトコートを1、2階に設けることで、プライベートな外部空間を確保し、北側の均一で柔らかな光を邸宅内部に取り込んでいる。外部は印象的な円弧状の壁を白のボーダータイル貼りとし、一般的な戸建て住宅とは一線を画す小美術館のような外観となった。内部も白のタイルと珪藻土を基調とし、フローリングや稲妻階段をウォルナットとすることでコントラストをつけている。またリビング天井の板貼りは薄く白を着色することで彩度を落とし、空間の抽象度を高めている。