大きな屋根と開放的な仕様で人をもてなす住まい

帯広市 M邸

敷地の周囲には広葉樹が多く、夏には青々と葉を茂らせ、秋になると紅葉、そして葉を落とす。四季の風情になじみ、風景を彩るシルエットとするため、ダクト形式の無落雪ではなく、ゆったりと流れる勾配屋根とした。この屋根の形状を表しにした、棟の高い勾配天井のスペースはオーナーが営むピアノ教室として利用。程よい広がりのある空間は、音の響きもよく、ピアノの演奏に最適な環境となった。リビングに隣接するこのピアノ教室は、仕切りとなっている引き戸を開放すれば舞台のあるホールのようなイメージとなり、年に数回行われる発表会の際には、生徒とその家族が集まり、練習を重ねた演奏に耳を傾けたり、音楽談義をはじめ、楽しく語らい、コミュニケーションを図るスペースとしても使われている。リビングの反対側に設けられた足元までの大きな開口と、高い位置のハイサイドライトから明るい陽光がたっぷりと差し込み、開放的な印象を与える。2階へと続く階段は、登りつつ緩やかにカーブ。曲線を描くアイアンの手すりとともに、有機的なイメージを醸し出している。このつくりは、東京で暮らしていた時から描いてきた奥さまの夢を具現化。家族の思いが、訪れる人々をもやさしく包み込む、おおらかで洗練された住まいとなった。