曲線で柔らかな空間表現した家

東京都 S邸

都心での暮らしは便利だが、ときにその便利さは人を息苦しくもさせる。だからこそ、家はすべての緊張から解き放たれ、癒やされる場でなければならない。
それを実現したのは2つの異なるラインの組み合わせだ。直線は堅さ、強さを、曲線は柔らかさ、優しさを感じさせる。プライベートな空間を守る外塀にはかっちりした直線を使い「守られる安心感」を、家には曲線を多用し、「迎え入れられる安堵感」を演出。さらに外から見える室内の明かりが、温かく出迎えてくれる人の気配を感じさせてくれる。
直線と曲線のテーマは室内にもさまざまな形で取り入れた。玄関から一直線にのびるエントランス、その向こうにはくるりと曲線を描くらせん階段。硬いアイアンで曲線を、やわらかな天然木で直線を作るという対比も効いている。リビングのソファーは半円を描き、ダイニングは直線のテーブルを配するなど、直線と曲線は地続きの部屋の雰囲気を変える役割も担っている。
相反するものを融合させることで、双方の魅力を際立たせる。それと同時に醸し出される安定感。絶妙なバランスから生み出される調和が心地よい。