茶室のある趣味の家

札幌市 S邸

この住宅は、ご夫婦がそれぞれの趣味を楽しむことができるゾーニングで設計された。茶室は付け柱と母屋丸太を表し、破風を細くすることで数寄屋造りとしたが、茶庭がその雰囲気をさらに醸し出している。玄関に入ると和の空間が広がり、茶室へと導入される。玄関ホールから前室に入り、そこから八畳の茶室へと導かれるが、炉は四畳半切、床の間の左側に床脇を備え、座敷としても空間を楽しめる演出を施した。障子を開けると茶庭が見え、手水、踏み石がちょうどよい景色で飛び込んでる。左側の本屋ゾーンに入ると、正面にグランドピアノがあり、リビングの雰囲気をコンサートホールのようなイメージにしてくれる。
全て自然素材で造られた空間から、大きく切り開かれた窓の外に見える広い庭は、お二人の手作りで、のんびりした時間が流れている。この空間が2階まで続き、ご主人が制作中の油絵が凛と飾られていた。ピアノの音響は抜群で、2階のアトリエで共鳴し、家全体に広がっていく。お二人のそれぞれのご趣味が、邪魔をしないで共有された、優雅な終の棲家が完成した。