三角地の家

札幌市 I邸

木とコンクリートが醸す、和モダンな風情:直角三角形の形状に、北側が4mほど傾斜した敷地は、ふつうに考えると住宅建築には理想的とはいえない。さらに、この場所は風致地域ということで、道路側3m、隣地側1m半の後退距離を必要とする法的制約があり、ますます不利である。しかしこのケースにおいては、むしろこうした残余とせざるを得ない部分を利用して、露地や茶庭をしつらえるなど、建物全体の品格を高めることに成功した。

玄関アプローチから鉄格子越しに見える竹垣の茶庭は、そのまま茶室の外待合に続く。敷地の奥まで連なる長い露地は、本格的な茶道が行われる空間として設えられた。建物の配置は周囲を回遊できる設計とし、それぞれの場所を移動することにより、いろいろな表情の空間と出会える楽しさをプラスした。動線に導かれるままに地下におり、裏庭から露地の階段を通ってカーポートに抜けるゾーンなどは、室内と外部のつながりが心地よく感じられる。