プライバシーと開放感を、優美なデザインで融合させた邸宅

東京都 T邸

閑静な住宅街の一角にありながら、プライバシーと開放感を両立させ、華美になることなく上質な落ち着きを感じさせる空間。そんなオーナーの要望への答えが、中庭を囲むように配置したくつろぎのリビング、ダイニング、キッチンだった。リビングでは、ダイナミックな石目の大理石が、アート空間のような印象を演出。天井まであるこの大理石は、リビングに足を踏み入れる際のフォーカルポイントとなり、中庭から注ぐ光を受け止めながら開放感を与えてくれる。リビングからキッチンまではひとつながりの空間でありながら、少しだけ雁行させて配置することにより光の抑揚が変化し、生活シーンを緩やかに分ける仕掛けとなっている。この邸宅は、心地よいプライベート空間であると同時に、ゲストを招き、もてなす場としても計画されている。それを象徴するのが、重厚な扉の先に広がるパブリックスペース。天井まで続くガラス面とガラステーブルにはダイナミックなエッチング加工の装飾が施され、幻想的で華やかな場が演出されている。空間構成の要となっている中庭は、2層吹き抜けのコンクリートで囲まれた輝度の高い白い空間。光をコントロールする大きな庇、黒いアイアンの扉がアクセントとなり、南欧の街並みを想起させる。開放感を得る一方、周囲の景観に溶け込む外観デザインが施された、優雅で心地の良い住まいだ。