住まいづくりの前提条件となる敷地の特徴を最大限に生かし、取り込んだ住まい。傾斜地というメリットを床面積の確保と空間の広がりとして反映させるため、下部の2層を地下扱いとした4階建の建物となっている。
上層部はシンプルなガラス張りのスペースを意識し、特注のスチールサッシで構成して、たっぷりと明るさを取り込みつつ、単純な空間とならないよう素材や色をコントロール。
壁や天井を風合いのあるチャコールグレーとし、光の反射率を抑えて深みのあるイメージとしている。下層部は開口を絞り込み、光の量をコントロールすることで、下層から上層へと光に導かれるかのような印象とした。また、ダークグレーの大理石調大判タイルとRC打放しを用いて、マッシブなボリュームとなるよう計画。
地下2階の玄関・階段ホールの壁は特殊な左官仕上げとし、上階のドライエリアから差し込んでくる光が乱反射し、モアレを生み出す印象的な空間となっている。
地下1階にあるUT/BRはドライエリアに向かって開き、天井に国産のヒバ羽目板を使って木の香りで満たすことで安らぎを与える一方、同じフロアのオーディオルームは漆黒のなかで時間を忘れて過ごせる空間とするなど、生活シーンに合わせた、変化のある住まいとなっている。