いつでもお互いの気配を感じられる、家族の居場所。子どもの誕生に合わせて計画され、未来の家族像、新たな生活の時間を紡ぎ、家族を支える場として導きだされたのは、大きな吹き抜けのリビングを中心とした住まい。
タイル貼りのリビングダイニングの一角には、床を掘り下げてカーペット張りとした、くつろぎのスペースが設けられている。さまざまな家族の居場所となる居室は、角度を持たせて配置。この平面構成により、奥さまの居場所であるキッチンからは、子どもたちの居場所(リビングダイニング、中庭、2階のフリースペース)などを一望できる。
密集した住宅街にあって、前面道路から隔絶された中庭を囲む全体構成、その中庭に対して最大限に取られたリビングの開口部(南面)。
緩やかな地形の勾配を利用した中庭との一体感により、開放的な印象となっている。モノトーンの色調の背景のなかに、キッチン、洗面、UT、トイレなど各水廻りの部位には、それぞれ淡くも主張のある「色」を与えることが構想された。
海外生活経験もある音楽家の奥さまのこだわりが、空間に豊かさを与えている。階段下には小型のグランドピアノを配置し、リビングをステージに見立てて家全体を音楽ホールにように利用する構想など、暮らしの楽しみも広がる住まいだ。