料理が好き、映画が好き、音楽が好き、宴が好きetc……そんな風にたくさんあるやりたいことを、すべて出来る家にしたい。その中で大きな空間を必要とするのは、友人たちを招いてもてなすためのスペースだろう。そのために大人数がくつろげるリビングと、ダイニングキッチン、和室をひとつながりの空間として使えるようにしておき、それぞれのゾーンを木、畳、タイルと、床材を変えて視覚的に独立させた。春は桜が見事に咲く、公園に面した大きな窓を持つリビングには、裸火の暖炉を設置。炎の揺らめきは安らぎとぬくもりを与えてくれる。もてなしの料理を作るためのキッチンは、オーナー夫妻のこだわりのコーナー。ときには屋上まで料理を運んで、テラスでパーティーを開くこともあるという。ガラス張りのウォークインワインセラーから、料理に合うものを選ぶ。
夫婦二人の時間も大切にしている。映画や音楽、楽器の演奏を楽しむ完全防音のシアタールームや、掛け流し風の石貼り浴槽を入れた浴室など、二人のやりたいことが思いっきり出来るように、さまざまな空間を用意した。それぞれの空間の個性がぶつかり合わないように、配置に工夫を凝らし、廊下を長くとることで、各部屋の独立性を高めている。
多彩な趣味を極めるオーナーにふさわしく、壁や床、天井、照明器具や階段の手すりに至るまで、好みが細部にわたって反映されている。