札幌の都心からも近い山裾の住宅地。市街を一望する小高い丘に建つ邸宅。設計プランの中でもっとも優先させたのが、眺望を楽しめる空間構成だ。寝室と水回りを1階に配し、家族みんなで過ごすパブリックスペースを2階にゆったりレイアウト。階段ホールを中心にLDKを回遊できる動線に、トップライトから階下まで光が届くよう配慮されている。ビューサイドには大きな開口を設け、リビングやダイニングからおおらかな景色を眺めるようにした。近隣の自然公園や遠くの街並が日常に溶け込む暮らしは、知らず知らずのうちに気持ちを豊かにし、心身ともに健やかにしてくれる。窓下には8メートルにも及ぶカウンター収納を造作し、窓辺をより印象的に演出。8帖ものスペースに悠々としつらえたキッチンも、この家の魅力のひとつ。キッチンはあまりオープンにしたくないという奥さまの要望で、ダイニングとは引き戸で仕切った独立スタイルだ。ふたつのL型カウンターを壁に沿って設置し、まんなかを贅沢に開けたキッチンはレストランの厨房を思わせる堂々たる広さ。ステンレスの天板と木目を生かした面材、床に使ったタイルの質感が美しく響き合う。素材のもつ質感を大切に、ディティールまでていねいにつくりこんでいった結果が、”深さ”につながっている。