この家が計画されたのは、南向きに4mの段差のある敷地だった。その境界いっぱいに車庫と階段を設け、十分な盛土を施すことによって庭を広げ、敷地を無駄なく利用できるよう配慮が行われた。土地の段差を利用し、地下にある玄関から階段を登っていくと徐々に庭が見えてくる仕掛けとなっており、外からの視線を遮りながら開放感と安心感を得ることができる。また、外観のボリュームによって周囲に威圧感を与えないよう、仕上げは淡いアイボリー調のタイルとし、さらに曲線の形状を組み合わせることにより、スタイリッシュかつ威風を感じさせるデザインとなった。白く光沢のある石張りの床が印象的なエントランスホールには、スワロフスキーによる美しいガラス絵が緩やかな曲線を描き、モノトーンで清楚なイメージの陰影が空間を優しく彩る。リビングへのガラス扉には幾何学的なデザインが施されており、天窓から差し込む光を受け、荘厳な空気を醸し出している。時とともに家族の営みになじみながらも、いつまでも新鮮さを保ち続ける上質な住まいが完成した。