柔らかな曲線をたたえた家

札幌市 S邸

美しい白いタイルの大きな庇と、ルーバーが映える品の良い外観。さらにモノトーンのタイルで横線を強調した曲線のデザインは、繊細かつ大胆。いくつかの柔軟な曲線を組み合わせることによって、見る者に圧倒的なインパクトを与える住まいだ。天井や照明が描き出す大きな曲面のコントラストが、抜けるように広がりを感じさせる。室内もまた、外観に引けを取らないほど曲線と直線がうまく生かされている。中庭が見渡せるリビングは大勢の来客を想定して、ゆったりした広がりを尊重。リビングから続くダイニングは、床材を変化させることで空間を切り換える効果を生み、家族の親密度を高めている。階段のみ色を変えた天然木の床が、広い空間のアクセントになっていることも付け加えたい。この家を形づくっている多様な“曲線”は、家族がこれから過ごす“人生” という時間を描く曲線の象徴であり、広がっていく未来を予感させる。人生という果実が豊潤な実りを迎えるその過程を、ゆっくりと楽しむ家である。