家族の絆が深まる家

帯広市 A邸

どこまでも続く地平線。まさに北海道を象徴する十勝の風景にふさわしい水平なラインと、心を解放させる伸びやかな間を設計の骨子とし、タモ、ナラ、シナなどの道産材をふんだんに使って建てられたのがA邸である。上質な素材と緻密な手仕事の融合、そして、端正につくりこまれたフォルムに、高い美意識を感じとることができる。東向きの敷地正面には、エントランスとガレージが結界をつくり、南に開いてコの字型に建物が配置されている。リビング・ダイニングは南面の中庭を望む明るく晴れやかな空間で、おもてのウッドデッキとの一体感により、さらなる広がりをみせる。そこでは、大きく吹き抜けた天井の高窓から降る光が、自然素材の風合いを浮かび上がらせている。2階には、ふたつの子ども部屋と奥さまのためのピアノ室、階段ホールをはさんで、ご主人が長年の友とする尺八を心おきなく吹くための部屋。進学で帯広を離れるご長男と、少しでも長く新しい家で暮らしたいというご希望を汲み、予定より早く1月に完成したA邸。4人で過ごした時間は、ご長男の、そしてご家族全員の幸福な思い出として刻まれることだろう。