傾斜地に建つ和モダン住宅

札幌市 H邸

敷地は札幌の中心部を一望できる、緑豊かな高台の傾斜地。最大40度という絶壁に近い急勾配の土地は、奥側で15mの高低差にも及んだ。階段を昇りきると、ブリッジ状のアプローチが一直線に建物本体へと続き、エントランスへ到達するまでの間、ダイナミックな視界の広がりが目に飛び込んでくる。
1階は、奥さんが主宰するバレエスタジオと、外露地待合も備えた本格的な茶室で構成したパブリックゾーン。2階は、リビングや寝室などを備えた完全なプライベートゾーンとし、上下階で暮らしの動線を分割している。リビングの南面にはハイサイドライトを設け、たっぷりの光を室内に呼び込むとともに、同じリズムで連続する窓が緑のタペストリーのようにも見える。日々の暮らしを愛し、とことん謳歌しながら生きる。オーナーの眺望へのこだわりは、そうしたライフスタイルの表れなのだろう。山の懐にすっぽり抱かれた住まいは、都会生活で忘れがちな季節の彩りを居ながらにして感じさせてくれるのである。