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て、何年も寝かせた陶土も使える。その昔ながらの土で、何か、新しいものが作れれば、と思っています。そて、何年も寝かせた陶土も使える。その昔ながらの土で、何か、新しいものが作れれば、と思っています。それから、今は若手を育てる立場になってきましたので、若手の作品を集めて、いろんなイベントをやっていこれから、今は若手を育てる立場になってきましたので、若手の作品を集めて、いろんなイベントをやっていこうと思っています。せっかくいい作品を作っても発表したり、見てもらう場がないともったいないですから。うと思っています。せっかくいい作品を作っても発表したり、見てもらう場がないともったいないですから。石出 今、備前焼を作る若い人は増えているんですか? 今、備前焼を作る若い人は増えているんですか?藤原 結構います。 結構います。石出 藤原流みたいなものも引き継がれていらっしゃるのでしょうか。 藤原流みたいなものも引き継がれていらっしゃるのでしょうか。藤原 藤原イズムみたいなものは、弟子たちを通してちゃんと伝えられていると思います。例えば、備前に 藤原イズムみたいなものは、弟子たちを通してちゃんと伝えられていると思います。例えば、備前には丸いしもぶくれした壺ってなかったんですよ。ビアマグなんかのテーブルウエアもなかった。丸い壺はうちのは丸いしもぶくれした壺ってなかったんですよ。ビアマグなんかのテーブルウエアもなかった。丸い壺はうちの親父が作ったものだし、祖父は食器類を作るのがすごく得意でした。そういう進取の気質は受け継がれ親父が作ったものだし、祖父は食器類を作るのがすごく得意でした。そういう進取の気質は受け継がれていると思います。伝統や文化って、ある程度継承されつつ、変わっていくべきところもあったほうがいいんでていると思います。伝統や文化って、ある程度継承されつつ、変わっていくべきところもあったほうがいいんですよ。すよ。石出 本当ですね。そこも藤原備前の素晴らしさです。私は大好きでたくさん集めているんですが、今 本当ですね。そこも藤原備前の素晴らしさです。私は大好きでたくさん集めているんですが、今回、和さん作の回、和さん作の徳徳とっくとっく利利りりと器を手に入れさせてもらって、藤原家親子三代が揃って、すごく嬉しいです。と器を手に入れさせてもらって、藤原家親子三代が揃って、すごく嬉しいです。藤原 ありがとうございます。ぜひ、お使いください。私は、自分の好きなものが周りにある生活ってすご ありがとうございます。ぜひ、お使いください。私は、自分の好きなものが周りにある生活ってすごく楽しいと思うんですよ。でも、ある程度、価値があると思うと、使っていただけない可能性が出てくる。く楽しいと思うんですよ。でも、ある程度、価値があると思うと、使っていただけない可能性が出てくる。壊れちゃいやだとか考えてしまって。壊れちゃいやだとか考えてしまって。石出 それはある。つい、大事に飾ってしまいます。 それはある。つい、大事に飾ってしまいます。藤原 わかるんですよ、しまったり、飾っておきたい気持ちも。だけど、器の気持ちになると、せっかく器と わかるんですよ、しまったり、飾っておきたい気持ちも。だけど、器の気持ちになると、せっかく器として生まれたからには、「使って!」「何か盛りつけて!」と言っていると思うんです(笑)。緩衝材でまかれして生まれたからには、「使って!」「何か盛りつけて!」と言っていると思うんです(笑)。緩衝材でまかれたまま、押し入れにしまわれたりすると、悲しんでいるんじゃないかなと。特に備前の器は皆さんと暮らすたまま、押し入れにしまわれたりすると、悲しんでいるんじゃないかなと。特に備前の器は皆さんと暮らすためにある器です。私も焼き物が好きでよく買うのですが、焼き物を買ったときに払うお金はためにある器です。私も焼き物が好きでよく買うのですが、焼き物を買ったときに払うお金は結結ゆいゆい納納のうのう金金きんきんだだと思っています。と思っています。石出 結納金ですか? 結納金ですか?藤原 お金を払うことで、器と暮らす時間が得られると考えているんです。器は奥さんと一緒なんです。 お金を払うことで、器と暮らす時間が得られると考えているんです。器は奥さんと一緒なんです。嫁さんが骨折したからって、捨てることはなくて、治してあげたいって思いますよね。器も使っていて、もし、嫁さんが骨折したからって、捨てることはなくて、治してあげたいって思いますよね。器も使っていて、もし、欠けることがあれば、直して、ずっと使えばいいんです。そのために金継ぎなどの修理の技術も発達してい欠けることがあれば、直して、ずっと使えばいいんです。そのために金継ぎなどの修理の技術も発達しているわけですから。一枚の器を大切に使って、「ここはおじいちゃんが割って直したところ」「ここはお母さんがるわけですから。一枚の器を大切に使って、「ここはおじいちゃんが割って直したところ」「ここはお母さんが傷つけたところ」というふうに器に家族の歴史を刻んでいく。だから、これは「我が家の自慢のお皿」だって傷つけたところ」というふうに器に家族の歴史を刻んでいく。だから、これは「我が家の自慢のお皿」だって胸を張っていえる、そういうジャパニーズの美意識がもっと育っていいと思うんです。胸を張っていえる、そういうジャパニーズの美意識がもっと育っていいと思うんです。石出 それはわかります。私のところによく、相当傷んだ茶室を直してほしいという依頼が来ます。いい それはわかります。私のところによく、相当傷んだ茶室を直してほしいという依頼が来ます。いいもの、本物、気に入っているものは、何年経っても直して使いたいと思うんですよね。そういう感覚、日本人もの、本物、気に入っているものは、何年経っても直して使いたいと思うんですよね。そういう感覚、日本人として大事にしていきたいですね。いやー、今日はいろいろお話ができて本当によかったです。ありがとうごとして大事にしていきたいですね。いやー、今日はいろいろお話ができて本当によかったです。ありがとうございました。ざいました。藤原 こちらこそ、ありがとうございました。 こちらこそ、ありがとうございました。藤原家の備前焼藤原啓、雄氏はすでに書いたように親子で人間国宝の認定を受けている。もともとは、文学が好きで、備前を飛び出した藤原啓氏は、東京で菊池寛、坪内逍遥等とも関わりを持ちながら、詩集や小説も発表していた。しかし、病気で郷里に戻り、40歳で陶芸の道に入った。備前焼の中興の租といわれる金重陶陽の志と技法を引き継ぎながらも、当時主流であった桃山の茶陶写しより、鎌倉期の力強い作風に惹かれ、「単純、明快、豪放」を自身の作陶理念とし、藤原備前の骨子とした。啓氏の長男として生まれた雄氏は、右目0・03、左目はまったく見えないというハンディを背負っていた。若い頃は、文学や音楽に熱中し、一旦は出版社に就職するが、やがて父に師事し、備前焼の世界へ。雄氏は視覚面でのハンディキャップを触覚で補った。すなわち、備前の土の特徴を目ではなく、手で熟知し、そこから作品を作りあげていった。その手から紡ぎ出される作品は、啓氏と比べ、なめらかで艶めかしい仕上がりになった。雄氏の長男で、3代目の和氏は、大学卒業後22歳で祖父・啓氏と父・雄氏に師事し、陶工としての道を歩み始めた。現在、精力的に作陶を続けながら、備前焼を引き継ぐ若者たちの育成にも力を注いでいる。088Fujiwara Kazu / Ishide KazuhiroDialoguechapter 2
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