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 一般の人には、家は設計者や建築士が中 一般の人には、家は設計者や建築士が中心になってつくっているイメージがあるかも心になってつくっているイメージがあるかもしれない。しかし、実際には、「職人」の存在しれない。しかし、実際には、「職人」の存在が重要だ。が重要だ。戦後の経済至上主義は効率が優先され、戦後の経済至上主義は効率が優先され、その影響で建築でも日本の職人が守ってその影響で建築でも日本の職人が守ってきた伝統技法が失われつつあった。しかし、きた伝統技法が失われつつあった。しかし、そんな風潮に抗い、職人のすごさを訴え続そんな風潮に抗い、職人のすごさを訴え続けている人もいた。その一人が、故西岡常一さけている人もいた。その一人が、故西岡常一さんである。法隆寺や薬師寺の再建を手がんである。法隆寺や薬師寺の再建を手がけた宮大工の棟梁だ。けた宮大工の棟梁だ。西岡さんの本を読んでかねてより感銘を受西岡さんの本を読んでかねてより感銘を受けていた私は、再建工事のために薬師寺にいけていた私は、再建工事のために薬師寺にいた西岡さんを訪ねた。快く迎えてくれた西た西岡さんを訪ねた。快く迎えてくれた西岡さんは、「本物の素材を使って、美しく、岡さんは、「本物の素材を使って、美しく、後世に長く残るものをつくらなければなら後世に長く残るものをつくらなければならない。そのためには、図面だけでものをつくるない。そのためには、図面だけでものをつくるのではなく、職人の力が大切だ」と教えてのではなく、職人の力が大切だ」と教えてくれた。その後、我が社に籍をおいていた大くれた。その後、我が社に籍をおいていた大工さん達を弟子入りさせていただいた。工さん達を弟子入りさせていただいた。日本の職人は、自然素材を優れた技で活日本の職人は、自然素材を優れた技で活かす術を持っている。例えば、自然に割れたかす術を持っている。例えば、自然に割れたり傷ついたりした木材があると、図面しかり傷ついたりした木材があると、図面しか西岡常一さんと出会い西岡常一さんと出会い職人の大切さを知る職人の大切さを知る書かない人間はそこを切ってしまおうと考書かない人間はそこを切ってしまおうと考える。しかし、一流の職人は、その部分を残える。しかし、一流の職人は、その部分を残しながらいいものをつくろうとする。それがしながらいいものをつくろうとする。それが日本の伝統的な美意識なのだ。今後も、そ日本の伝統的な美意識なのだ。今後も、その精神を忘れず、国産のいい材料を使って、の精神を忘れず、国産のいい材料を使って、いい職人とモノづくりをしていきたいと考えいい職人とモノづくりをしていきたいと考えている。ている。いいものをつくるということで心がけているいいものをつくるということで心がけているのが、家は施主の期待通りのものをつくっのが、家は施主の期待通りのものをつくっているだけではダメだということだ。一生物ているだけではダメだということだ。一生物として愛してもらうためには、期待されてとして愛してもらうためには、期待されている以上のものをつくらなくてはならない。いる以上のものをつくらなくてはならない。想像以上の感動を与えることが出来て、は想像以上の感動を与えることが出来て、はじめて成功だと思っている。じめて成功だと思っている。そうは言っても、実は自分が最初に建てたそうは言っても、実は自分が最初に建てた家を越えられない部分がある。年月を増し家を越えられない部分がある。年月を増していくと、建物に味わいや趣が出てくる。新ていくと、建物に味わいや趣が出てくる。新しいものはきれいではあるが、時を経たものしいものはきれいではあるが、時を経たものにかなわないところがあるのだ。私はこれを、にかなわないところがあるのだ。私はこれを、「古くならずに深くなる」と言っている。「古くならずに深くなる」と言っている。「100年経っても残したい」という気持「100年経っても残したい」という気持ちがこもった家こそが、本物の美しい家なちがこもった家こそが、本物の美しい家なのだ。のだ。216epilogue本物は古くならずに深くなるThe genuine article ‘does not become old and rather adds to attraction’

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