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プライベートとパブリックな空間曲線のゾーニング「家を建てることは、その人の人生を建てることと同じ」と考えている。だからこそ、全神経を集中させ、美意識を注ぎ込み、何十年経っても色あせない住まい造りにこだわる。オーナーの「美術館のような家」というイメージから始まったこの住まい造りについても同様だ。まずは、“エレガント”というキーワードを設定し、空間イメージを広げた。白い清潔感、シンプル、曲線美、緩やかなスロープ。そしてゲストをお招きすることも少なくないライフスタイルのため、プライベートとパブリックスペースのゾーニングも必須であった。これらの要素を具現化するものとして提案したのが、住まいの中心に円形の中庭を配置した設計である。この建物の敷地は、細長く、高低差が3mにおよぶ特異な形状である。敷地の高低差と奥行を魅力に変えるべく、車寄せを兼ねるアプローチからエントランス、玄関、ホール、リビングへ到達するまでの動線に優雅な曲線を取り入れ、中庭の景色も望めるようにした。中庭をはさんでリビングとベッドルームを分離させ、両方をつなぐ廊下に曲線とスロープを取り入れて、プライベートとパブリックの境界に楽しさを演出した。インテリアや階段の手すりなどディテールの細部にまで目を配らせ、住宅そのものをアートに見立てた。156Japanese Houses Make the Culturechapter 4美術館のような家“House like a museum”

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