空間、そして人をつなげる家

札幌市 C邸

訪れる人を快く迎え入れる懐の深さ。腕を広げて客人を招き入れるかのようなエントランス、その奥に位置する瀟洒なデザインの玄関と2階へ続く階段。リビングのドアは「捻り組み」と呼ばれる工法で造られた木製の特注品。熟練した職人の手業でしか出すことができない、繊細で上品な表情が、くつろぎの空間を演出する。リビングに入ると、正面に見えるのは幅8mの開口部。コンクリート造りの利点を生かし、柱にさえぎられることなくテラスと庭を見渡せる。高い天井の片側はさらに高く吹き抜け、最上部に設けられた窓から光を取り込む。随所に配された子窓や、ドアと壁の間をつなぐガラスが、部屋の隅々まで光を送り届け、さりげなく空間をつなぐ。リビングに続く和室には掘りごたつを設け、ゆったりくつろげる空間にしつらえてある。対面式のキッチンと大きなダイニングテーブルは、4~5人くらいなら自由に動けるスペースをとっている。この家は家族を包み込む安らぎの場であると同時に、訪れる人を大らかに受け入れ、楽しませ、新たな人間関係を広げていく。