大地と美しく溶け合う、水平の家

札幌市 I邸

170坪を超えるゆったりとした敷地は、真南にワイドな間口を広げる理想的ともいえる形状。この恵まれた条件を活かすことで生まれたのが、横のラインのスケール感を存分に表現したプロポーションだ。建物の高さをできるだけ低く抑えることで、長さはさらに強調されるのだが、その一方で、住宅内部へ足を踏み入れたとき、吹き抜けの縦に広がる開放感に圧倒されることになる。床にはカバ、建具はタモ、天井のルーバーはシナという具合に、樹種は異なれど道産材をふんだんに使った空間は、どんなインテリアとも対立することなく、ひとつの空間として完成度を増していく。間口のスケール感は、住宅内部でもたっぷり感じることができる。東端にあたる和室から一直線に続く廊下の突き当たりまでは優に20mを超え、さらにその先にある中庭が奥行きをより深いものにしている。