素材の変化を楽しむ和モダンな家

札幌市 G邸

風格や存在感といったものは、その人が重ねてきた人生の深みそのものだろう。同じことが住まいにもいえるのではないだろうか。
周囲の自然につつみこまれるようにして建つG邸。黒くなった下見板やレンガ、無垢の柱や梁、床や天井の色合いが醸し出す風情は、年月を重ねてこそ滲み出てくるものだと改めて実感させられる。オーナーは自然のものを愛好する方で、時の経過とともにカラマツ材が見せる変化を楽しみながら今まで暮らしてきたと言う。とはいえ、やはり柱や梁のひび割れや、ヤニからは逃げられなかったのだが。それは木が生きものだという証しである。ふつうなら、柱のひび割れはクレームになるものだが、オーナーとの信頼と理解があったからこそ実現した家なのだと、今でも感謝している。